『躍動するフィールドワーク』

井上真編『躍動するフィールドワーク』(世界思想社、2006)

(1)東京大学農学部林政学講座(?)に縁がある若きフィールドワーカーたちの体験談。失敗話が結構含まれているのが興味深いが、しかし、林政学ってこんなに面白いことができるのか!!

(2)西表島のフィールドワークを通じて

自分は……研究においてもアカデミズムへの還元というよりは、フィールドの人々にどのような付加価値をつけて研究成果を還元できるかを意識してきた……。だが、この付加価値を生みだすというのが難しい。なぜならば、国内フィールドワークの場合、「調査される側」も、ときに研究者を凌駕するほどの鋭い自己分析眼、自己批評眼をもっており、それが時間をかけていまの理解に飽和しているからである……。それで私は、混沌としたフィールドに臨むときの一つの光源としての専門知識を身につけておきたくなった。基本となる専門分野を一つもっていれば、そこを突破口としてフィールドに深く踏みこむことができるし、またそれが研究者としての価値判断の根拠となり、フィールドに呑み込まれる不安を軽減してくれる(76-7頁)

という理解にいたり、「一つの光源としての専門知識」たるべく日本国有林史という「マニアックな」(本人談)分野を研究対象とするに至った大地俊介さんの経験談にうなづかされる。

「一つの光源としての専門知識」か……いいことばだ。
【付記】
『なんでぼくらは…』(だっけ?)執筆準備を再開したため、ひたすら電子ジャーナルをハードコピーして読む日々。それにしてもAJPSAPSRが研究室にいながらにして読めるとは、なんとまあ良い時代になったことか……という気もするが、図書館に行かなくていいんだろうか、それは人文社会系の人間として怠慢じゃなかろうか、という気もして、結構複雑な心境の秋の一日である。
【付記その2】
うーむ、なんだか、どこかで……と思ってあとで確認したら、去年の早稲田大学COEシンポジウムの会場で大地さんに会ってんじゃん!! いやぁ世界ってのは狭いもんだ。