『子どもと学校の世紀』

天野千恵子『子どもと学校の世紀』(岩波書店、2007)
いただきもの(杉田さん、サンクス)。

(1)ノワリエル・セミナーは、廣田先生、三浦さん、福井さんという主催者側をはじめ、中野さん、藤田さん、工藤さん(久しぶりにお会いしたが、お元気そうで幸いだった)、佐々木さん、前田さんなど、日本のフランス史研究のリーダーたちが一堂に会して壮観。ノワリエルはやわらかい人当たりながら、毒舌の才能が発言のあちらこちらにきらめき、さすがは数々の論争を惹起してきた人だけあるという印象だった。なお終了後の懇親会が韓国料理屋だったというのは、これは三浦さんのご愛嬌。

(2)セミナー参加のための東京往復の新幹線の車中読書は、かねてより目のつけどころのシャープさに感服していた近世フランス史学者・天野さんの、本当に待望の著書。旧体制から革命期にかけてのフランスを舞台に、学校、家庭、親子関係、育児書、あるいは「子ども」の政治的利用など、子どもの実態とイメージをめぐる諸問題を、イメージ豊かに論じる。キュートな装丁、驚きの価格破壊(300頁で索引付きの専門書が2000円台とは、さすが岩波!!)、たしかに広く読まれるべき一冊だろう。
ただし、旧体制期フランスにおける教育政策が「民衆に対する学校教育の普遍的な普及」という特徴を持っていたと結論するのは、天野さんも指摘している反啓蒙主義的な政策思想の根強い存続(19頁)を考慮に入れると、ちょっと疑問が残る。