『法思想史講義』

笹倉秀夫『法思想史講義』(上下巻、東京大学出版会、2007)
いただきもの。

(1)笹倉さんの新作は、A5版上下巻で合計700頁強、横書きなので四百字に換算して二千枚をはるかに超えるんじゃないかと推測される、問答無用で膨大な法思想史の概説書。教授会の最中にず〜〜っと読み、帰宅しても読みつづけ、夜も更けるころにようやく読了。まさに大河小説のごとき読後感である。
それにしても、も、も、もしかして、早稲田ロースクールではこれをテクストブックとして使うんだろうか?
(2)ただし「法思想史」というこの本のタイトルは、2つの点で内容にマッチしていない。つまり

  • タイトルをみると地域的な限定がないが、実際には欧米の話がほとんどである
  • タイトルをみると「法」にかかわる思想だけが論じられているようにみえるが、実際には法、政治、社会、経済、さらには科学など、およそありとあらゆるものに関する思想を対象にしている

のであり、その意味でこの本はむしろ「欧米思想史講義」とでも命名するべきものではないか?
(3)個々の思想に関する笹倉さんのアーギュメントを云々する力はぼくにはないが、

  • 紀律/規律化というモメントを重視していること
  • 欧米における「異質なものの自立と統合」の伝統を強調していること
  • 実践的な思想(アリストテレスヴィーコロールズなど)の系譜に着目していること
  • 魔女狩り魔女裁判という史実にかなりのページをさいていること

などが興味深かった。
(4)それよりもなによりも、これだけの膨大な情報を個人でまとめあげる知的体力には、まこと脱帽!!、の一言。