『革命ロシアの共和国とネイション』

池田嘉郎『革命ロシアの共和国とネイション』(山川出版社、2007)
いただきもの。
おすすめ。

(1)ロシア現代史研究のホープたる池田さんの博士論文の刊行バージョン。
ソ連ソヴィエト社会主義共和国連邦)はなぜ「共和国」だったのか?
という「コロンブスの卵」的な疑問から、モスクワを対象とする実証研究をすすめるなかで、

  • ロシア革命は身分制を破砕し、均質な個人からなる政体たる「共和国」をつくりだした。
  • そのことによって、レーニンをはじめとする共産党エリートは「国民形成」という課題に直面した。
  • その一方で、身分制社会がもたらした有機体的な社会観は、人々のあいだにも、共産党エリートのなかにも、根強く残存した。
  • 共産党エリートは「集団的労働」をキーコンセプトとして、有機体的な社会観と整合的な国民形成をすすめた。
  • 「集団的労働」概念は、国民の定義と、国民形成の手段という、2つの役割を果たした。

ことを明らかにする。全体を通して

  • モスクワの「都市的性格」をどこまで一般化できるか、疑問が残る。
  • 「有機体的な社会観」の定義が曖昧である。
  • 「民族」というモメントが軽視されている。

など、いくつか問題は残るが、クリアなアーギュメントと比較史に開かれたスタンスを併せもつ好著だといえるだろう。

(2)こういう本格的なモノグラフを読むと、
わしもこーしちゃおれんぞ、おい
という気にさせられる……一瞬だけだが(なさけなし)。