『中国思想史』

溝口雄三・池田知久・小島毅『中国思想史』(東京大学出版会、2007)
いやー、超おすすめ。これはスゴい。

(1)年末も近くなり、今日はオフ……って、そもそも日曜日だって。でも明日は職場でしごとをする予定なので、あまりノンビリした雰囲気はない。

(2)たまたま大学生協書籍部の店頭で手にとった(大学生協書籍部、もうちょっと品ぞろえ頑張ってくれー!!)この本を読み、ひたすら驚愕。中国思想の概説的な通史という体裁をとっているが、目のつけどころといい、時代区分といい、おそらくはまったく新しい中国史の見方を提示しようとしている、じつに野心的な一冊とみた。
この本のキーワードは《科挙官僚制社会》と《郷里空間》だと思うが、ぼくのような素人の説明を読むよりは、まずは「はしがき」を一読されたい。そこには

本書は中国史上四つの大きな変動期に焦点を絞り、そこにどういう新しい歴史が生みだされたのかを解明しようとする。変動期とは、第一にまず秦漢帝国の成立にいたる過程(第一の変動期)であり、ここに二千年におよぶ中央集権的な王朝体制が誕生した。しかしその後、皇帝専制のもと、唐代までの門閥・貴族社会は、いわゆる唐宋変革(第二の変動期)によって、宋代以降、実力本位の科挙官僚制社会へと巨大な転換を遂げる。のち明末清初期(第三の変動期)には、朱子学の民衆化や陽明学の興りに見られるように、士紳と呼ばれる層が民衆のリーダーとして地方の社会秩序を主体的に担いはじめ、近世から近代への扉を押し開いた。この士民の力がやがて清代を通じて上昇し、嘉慶年間以降は民衆反乱に対する自衛武力組織が充実し、太平天国期における「地方による地方のための軍隊」すなわち湘軍の建立を契機の一つとして、ついに省の独立をもたらし、辛亥革命(第四の変動期)として王朝体制そのものを瓦解させたのである。この清末民国期の変革はのち1949年の建国革命によって新しい中央集権的な建国へ引きつがれた(i-ii頁)

という、おそるべき見取り図が提示されている。