『帝国とプロパガンダ』

松沼美穂『帝国とプロパガンダ』(山川出版社、2007)

(1)ヴィシー政権期フランスにおける「帝国」や「植民地」をめぐるプロパガンダ政策の制定と展開のプロセスを分析し、そこに「ナショナル・アイデンティティ維持の手段としての帝国」という帝国イメージを見出すモノグラフ。「帝国」とか「プロパガンダ」とかいうと、ポスト・コロニアリズムカルチュラル・スタディーズといった華々しい理論装置をもちいた華麗なレトリックの嵐を期待するかもしれないが、この本は着実で堅実で、はっきりいって地味な書である。しかし、政策分析とは、このように着実で堅実で地味なものでなければならないのだろう。そして、

そもそも歴史研究そのものが着実で堅実で地味なものなのである。

……年末だけあって、われながらえらそーな物言いである。