『ポストコロニアル国家と言語』

砂野幸稔『ポストコロニアル国家と言語』(三元社、2007)

(1)独立後セネガルにおける言語状況と言語政策を、政治的経済的なファクターを加味した社会言語学的なアプローチをもちいて分析するモノグラフ。《旧宗主国公用語か、それとも土着の母語か》という単純な二項対立的枠組では、

  • セネガルのような多民族社会の言語状況は分析できない
  • 独立後セネガル旧宗主国フランスと取結んできた複雑な政治的経済的社会的関係を議論に取込むことはできない
  • ひとつの土着語(ウォロフ語)がデファクト公用語化しつつある理由が分析できない

ことがクリアに論じられていて、興味深い。また、自身のフィールドワークから得られたファクト・ファインディングにもとづいていることも、議論の説得力を増している。