『集団の再生』

水町勇一郎『集団の再生』(有斐閣、2005)

■最近の日本のその筋では、

  • 「労働者」という集団的カテゴリーに特別な権利を認める(自信なし)労働法なんて役に立たない。
  • これからは労使間の契約の対等性を基盤とする個別的雇用法の時代だ。
  • だって、なんたって「自由放任」だし、アメリカではそうだし。

とのたまうスタンスが流行っているらしい。なんというか、うーむ、「ネオリベ」とか「規制緩和」とか「グローバル化」とか、そんな一昔前の流行語が想起される理屈である。

■水町さんはたしかフランス労働法の専門家で(も)あったと記憶するが、この「いかにも」なスタンスに対して「それじゃ本当のところアメリカではどうなのさ?」という、じつに正しい疑問をいだき、

  • 個別的雇用法って、つかえてない。
  • そのせいもあって、集団を重視する議論が復権しつつある。
  • その重要な根拠は「そのほうがコストかかんないし……」。
  • その理論的なバックグラウンドは、ゲーム理論ベースの経済学。
  • ちなみにキーワードは「発言」、「交渉」、「構造」だから、ひとつよろしく。

という、ぼくのような法律オンチには驚愕すべき事態をみいだす。いやあ、世界は、そして時代は進んでいるんですね。
ただし、じつにインフォマティヴな一冊なれど値段が6000円+税というのは、ちょっといかがなものか。