『昭和三十年代主義』

浅羽通明『昭和三十年代主義』(幻冬舎、2008)
いただきもの(志儀さん、サンクス)。
■以前から愛読している浅羽さんの新作は、最近の「懐かしい昭和」ブームを題材として、到来しつつある低成長時代においては【貧しさ&コミュニティ&居場所&伝統&祝祭etc.】を重視する社会思想、すなわち「昭和三十年代主義」を受容することが必要になると説く一冊だった。
■うーむ、しかし、この「昭和三十年代主義」と、その後に来たった【豊かさ&個人&自己実現&進歩&会社etc.】を重視するいわば「高度成長主義」を、単純に相対立するものとして捉える枠組は、いまいち納得しがたい。後者は前者の延長線上に、それを【止揚】した存在として現れたのではなかったか……という点は、じつは浅羽さん自身がこの本のはじめのほうで示唆していたはずだ。議論が進むにつれてこの観点がが後景に退いてゆくのは、残念である。