『紛争の戦略』

トーマス・シェリング『紛争の戦略』(河野勝監訳、勁草書房、2008)
ノーベル経済学賞に輝くゲーム理論シェリングの主著。

 お互い相手がそうしようとしていることを知っているならば、人々はしばしば自分の意図や予測を他者にあわせることができるのである。多くの状況、そしてこの種のゲームをおこなう人々が直面するおそらくすべての状況は、行動を調整するいくつかの手がかりを与えてくれる。つまり、相手がどう予測すると自分が予測するかについての相手の予測を各人がどう予測するかについてのフォーカル・ポイントがそれである。唯一の手がかり、もしくはいくつかある手がかりのうちある一つの手がかりを見つけ出すことは(唯一の手がかりであると相互に認識されている手がかりが唯一の手がかりとなる)、論理よりも想像力に依存している。それはたとえば、類推、先例、偶然の配置、対称的・審美的・幾何学的な形状、詭弁的な推論、そしてだれが当事者であり、お互いについてそれぞれがなにを知っているか、といったことに依存する……。彼らがこの問題に対してつねに明白な答えを見つけ出せるとはかぎらないが、そのチャンスは抽象的な確率論が示唆するよりもはるかに高い。
 こうした問題に対する「解答」−手がかり、調整要因、フォーカル・ポイント−の多くは、ある種の傑出性や異彩性をもっている……。おなじく重要なものとしては、ある種の一意性がある(61-2頁)。

なんて文章をよむと「一流とはすごいものだ!!」という感を深くする。
【追記】
この「ポリティカルサイエンス・クラシクス」シリーズ、シブい企画だ。こういう企画、どんどんやってほしい……けど、売れないだろうなあ、きっと。