『死の歴史学』

真野倫平『死の歴史学』(藤原書店、2008)
■19世紀フランスの歴史家ジュール・ミシュレの代表作『フランス史』を【受難、死、贖罪、復活】といったキーワードをもちいて読みとく書。『フランス史』の紹介を兼ねているからかちょっと冗長に流れる感が無きにしも非ずだが、じつに面白い。【物語vs.叙述】、【歴史の必然性vs.個人の自由意思】、【伝記vs.社会の歴史】といった、歴史学がはらむさまざまな二項対立のなかで、ミシュレが独特なポジションを占めていたことがよくわかる。
■ただし、これら二項対立の対立軸のあいだの関係がいまいちすっきりしないまま、ミシュレは「天才的な直感」をもつ「永遠の異端者」だったと結論されると、うーむ。もうちょっと突っ込んでほしいと思うのは、果たしてぼくだけだろうか(修辞疑問文)。