フランス滞在7日目

8月23日(土)
ようやく?
あっというまに?
とにかく週末である。午前中は、駅前のカフェSurcoufまで足をのばし、テラスでロザンヴァロン『フランス型政治モデル』を読んですごす。おそらくレンヌでもっとも開放的なテラスは、この駅前カフェだと思う。

昼は、知人のジャン・ルビアンJean Le Bihanが新居を購入したというので、見学がてら昼食をご馳走になりに行く。ジャンは、かつて2000年にレンヌで在外研究をしたときの文書館仲間のひとり。当時はレンヌ第2大学で博士論文を準備している大学院生だったが、数年前に母校の現代史担当准教授に迎えられて今日に至っている。フランスでも大学改革が進行中ということで、昼食時の話題はおのずと新居の自慢から不毛な大学行政の苦労話にスライドしていった……というのは、これはご愛嬌。それでも博士論文がようやく来月刊行される(『国家に奉仕するということ』、レンヌ大学出版会)とのことで、新居引越しも含めて、Felicitation, Jean !!


ちなみに、この7月から『思想』で「批判的転回以後のフランス歴史学」特集が始まったが、ジャンの博士論文のエッセンスは、そのなかで「19世紀フランスにおける準幹部公務員:ある研究の中間報告」として邦訳される予定である。この特集は不肖小田中が担当させてもらったが、企画、フランス語論文の選択、翻訳、レビュー・アーティクルの筆者の選択、さらには寄稿依頼まで、すべてぼくの自由にさせてくださった互さん(『思想』編集長)には、本当に感謝の言葉がない。「なにか書かないか」という互さんのメールを読んだのは2007年2月にルマンで仕事をしているときのことだったが、そこから芽生えた……つまり

  • ネタがないから書けないと、いったんは断った。
  • いつもの貧乏性癖が出て、翻訳なら出来ると逆提案した。
  • さらに、せっかくだから数本論文を集めて特集にしようと考えた。
  • さらにさらに、フランス人歴史学者の論文だけじゃつまらないから、日本人歴史学者の手になるレビュー・アーティクルとカップリングしよう、と思いついた。

という、わけのわからない流れのなかで、ひょんなことで始まった……企画がどうにか動き出し、いいだした側としてほっとしている。
折角なので、宣伝をかねて、特集のラインナップを書いておこう。なお、本特集は、諸般の事情(こらぁアルマン・コラン、いいかげんまじめに仕事しろー)により、不定期掲載予定である。

  • 第1回(7月号) ベルナール・ルプチ(元・フランス社会科学高等研究院EHESS)「今日の『アナール』」(『レビュー』1994年)/渡辺和行(奈良女子大)「ポストモダンの社会史と『アナール』」
  • 第2回 パトリック・フリダンソン(EHESS)「組織、新たな研究対象」(『アナール』1989年)/高井哲彦(北大)
  • 第3回 ジェラール・ノワリエル(EHESS)「社会的なるものの主観主義的アプローチにむけて」(『アナール』1989年)/三浦信孝(中大)
  • 第4回 ミシェル・ヴェルネール&ベネディクト・ツィンメルマン(ともにEHESS)「交錯する歴史を考える」(『アナール』2004年)/平野千果子(武蔵大)
  • 第5回 ジャン・ルビアン(レンヌ第2大学)「19世紀フランスにおける準幹部公務員」(未公刊論文)/長井伸仁(徳島大)

今日の教訓:ヒョウタンからコマ、ということもある。