フランス滞在13日目

2月13日(金)
今朝、いつものようにADIV(写真の建物)に出かけ、荷物をロッカーに預けようとしていたときのこと。
ちなみに、ADIVでは、コートやかばんをはじめとする荷物は閲覧室持込禁止であり、入口近くにあるロッカーを預けることになっている。これはADIVに限ったことではなく、大抵の文書館では、閲覧室に持込めるのは、鉛筆(万年筆やボールペンはダメ)と消しゴム、紙切れ(ノートはダメ)、パソコンと周辺機器、カメラ、外国人だったら辞書はまぁいいか、という感じ。万年筆やボールペンがダメなのは「資料を汚す可能性がある」からだし、ノートがダメなのは「資料をあいだにはさんで盗もうとする輩がいるかもしれない」かららしい。パリの国立中央文書館ANなんて(最近出向いてないので、いまの事情はわからないが)閲覧室を出る際にボディチェックがあったもんなぁ。
以前にも書いたとおり、ADIVのロッカーは、集密書庫をイメージしたつくりになっている。つまりロッカー20個からなる鉄の箱が何列か並び、それが(横でなく)縦に移動する、という感じ。したがって、どこかの列のロッカーを使用しているときに、別の列のロッカーを使用しようとして移動させると、2つの鉄の箱のあいだに挟まれてしまう、という、じつに危険な代物である。「そんなもの作んなよな、作ってもいいけど使うなよな」といいたくもなるが、「デザイン第一、実用性第二」の国だし、実際にそれしか存在しない以上、こちらとしてはあきらめて使うしかない。
そんなわけで、いつもは、他にロッカーを使いそうな人が周囲にいないのをみはからい、かつ「おれはここにいるぞーっ(Baby I'm here)」とばかりに、これみよがしにロッカーを開けたり閉めたりしている。また、朝っぱらからADIVに来るのはたいてい常連さんで、彼らは、この(フザケた)ロッカーの特徴をよく知っているので、だれかが使っていると使いおわるまで待っていてくれるのが常である。
ところが、今朝は違った。ロッカーのドアを開けて荷物を入れていると、別の列のロッカーを開けるべくハンドルを回す音が!! 鉄の箱が動く音が!! そして、ぼくが立っている(2つの鉄の箱のあいだの)スペースが狭まってゆく!!
なんと、今日に限って、朝っぱらから初心者のおじさんがやってきて、別の列のロッカーを(ぼくがいるにもかかわらず)使おうとしたのである……そして、「バキッ」という鈍い音がしたかと思うと、ぼくが荷物を入れようとして開けておいたロッカーの扉が壊れてくずれおちた。扉が開いていなければぼく自身がはさまれていたわけで、この扉は命の恩人である。
ありがとう、ロッカーの扉。無事に成仏してください。
うーむ、さすがは、かつて「カトリック教会の娘」とよばれた国のなかでも真面目な信徒pratiquantが多いことで知られる地方ですごす13日の金曜日。不吉な一日の始まりだった(が、あとはなにごともなくすぎさりました)。