ディジョン滞在10日目

2月3日(水)
ウーム、不調である。


ぼくの場合、大抵滞在2週間目に疲労が出てぶっ倒れるのがお約束なのだが、今回は体調ではなく、ADCOの資料が「ない」ことが続いていて、不調なのである。
周知のことかもしれないが、フランスの文書館システムでは、資料の「目録(inventaire)」があり、そこに各「箱(carton、資料の請求単位)」の概要と請求番号(cote)が付されているので、それにもとづいて請求をおこなうことになっている。これは、パリの中央文書館ANでも、各地の県文書館ADでも市町村文書館AMでも、まったく同じである。ところが、県文書館(と、おそらく市町村文書館)レベルだと、まだ資料の整理が十分になされていないことが、たまに(orけっこうしばしば)ある。
たとえば、ぼくがよく使っているイル・エ・ヴィレヌ県文書館ADIVだと、1991年にはじめて行ったときは、教育関係の資料(資料系列T)が整理途中で、仮請求番号になっていた。その後整理が終わり、今では正式の請求番号がついている。ぼくの博士論文はおもに1991/1992年にADIVで実施した資料調査に基づいているので、その刊行版である『フランス近代社会1814-1852』(木鐸社、1995)におけるADIV教育関係資料の請求番号は仮のものであり、今現在のものとはズレている。もちろんADIVにゆけば対応表があるので、どれがどれに対応するかはすぐにわかるようになっている。
ADCOの場合、資料下位系列4M(ポリス)が仮請求番号になっている。4Mは、警察や憲兵の報告など、頻繁に利用される資料を含んでいるので、整理が終っていないのはちょっと信じられないが、ま、これぞフランス。そして、大事な資料の整理がすすんでいないということは……そう、目録には記載してある箱が、じつは行方不明になっているという、とてもイヤーな可能性があるということを意味している。
そんなわけで、ここADCOでは、4Mに入った途端、目録にある請求番号で請求しても「いやー、保存庫のスミからスミまで探したんだけど、ないんだ」といわれることが増えた。スミからスミまで探してくれる係員さんたちの親切には頭が下がるし「これが文書館だから」と慰めてくれるのもうれしい(というか、ホントは、そういわれても困るのだ)が、だがしかし。
ま、「ない」ことを確認するのも大切な営為だと考えて、わが身を慰めることにするか。