ディジョン滞在28日目

2月21日(日)
今日こそ完全オフにするぞ!!、とかたく決心し、11時まで布団を出なかった。こういうのを「グラス・マティネ(grasse matinee)」と呼ぶのだが、なんでだろうか。日曜日のディジョンはほとんどの店が閉まっているので、あわてて、午前中だけ開いているスーパーに今週分の食料を買出しに行く。
(1)帰りに、ヒマだったゆえ、昨日質問(だけ)にいった酒屋に行き、当然閉まっているので、店頭でモンラシェの生産者を確認し、宿に戻ってネットで情報収集してみる。件のモンラシェは

  • Le Montrachet, Domaine Fleurot-Larose, 2001

である。フルロ・ラローズはサントネ(Santenay)にある小さな家族経営の生産者らしく、ほとんど日本には入っていないとのこと。ただし、なんでも「日本人が嫁いだ」とのことで、へーっ。
そんなわけで件の価格が高いのか安いのか、にわかには判断しがたいが、モンラシェは、ぼくがこれまで飲んだなかで(思い出としても、価格としても)最高のワインである……もちろんフルロ・ラローズではなく、よくあるルイ・ラトゥール(Louis Latour)だったが。そのせいで、カネもないのに、ついつい酒屋のドアを開けてしまったんだろう。
(2)ついでに、フランス人はワインとパンにチーズかソシソン(=サラミ)があれば人生満足という噂があるが、たしかにパンは大切である。フランスでパンを売ってるのは、大別して、町のパン屋、チェーン店、そして、スーパーなど、よそで焼いたパンを置いているところ(「デポdepot」)にわけられる。
このうち最近繁殖しているのがチェーン店。ここディジョンにも「ポワン・ショー(Point Chaud)」、「ブリオッシュ・ドレ(Brioche doree)」、「ポール(Paul)」などがある。

  • ポワン・ショーは、バゲット80サンチームと、他と比べて安い……が、味もそれなり。大体、買ってすぐに硬くなりはじめるバゲットというのは、うーむ。
  • ブリオッシュ・ドレは、ブルターニュで日仏カップルが創業したという歴史を持つため、レンヌなど西部では圧倒的なプレゼンスを発揮している。味はまずまずだが、どちらかというと菓子パン(viennoiserie)を重視した商品展開である。
  • ポールは、クラシカルな店作りが人気で、ロワシーにもあるし日本にも進出している。たしか元はフランス北部はリールのパン屋だったんじゃなかったか? 味は、チェーン店のなかでは一番だと思うが、ぼくにはちょっと塩辛い。塩を使うとパンの色を白くできるし、硬くならない、と聞いたことがあるが、たしかにポールのパンは翌日になっても一定のやわらかさを保っている。

個人的には町のパン屋で買うのが好きだ。当たり外れはあるが、それもまたおもしろい。ところが、宿の近くにあるパン屋が二週間のバカンスに入ってしまい、ADCOに行く途中にあるパン屋もバカンスなので、パン屋をさがしてあっちこっち徘徊している日々である。
ちなみに、ぼくがもっとも好きだったのは、1991/92のレンヌ滞在中に通ったサンミシェル通りのパン屋のバゲット。なにがすごいって、小ささ(バゲットは重さが法定されているため、小さいことは密度が高いことを意味する)&色(濃い灰色=おそらく無漂白小麦粉だったんだろう)&やわらかさ(翌日になっても、まったく問題なし)。年配の夫婦が営んでいたこのパン屋、かなり前に店をたたんでしまったが、
「バゲットはね、焼きたてはどれでも美味しいの。勝負は翌日なのよ」
というマダムの言葉は、いまでも忘れられない。
(3)さて、いま正午。今日はジェレミー・ヘイホーから「晩飯食いに来いよ」と呼ばれている。彼は火曜日からカナダに一週間帰り、ぼくは土曜日に帰国するため、遅くとも明日が今生の別れになるかもしれないからだ(大げさ)。ま、そのうちFHS年次大会かなんかで再会できたらいいなあ……って、意外とすぐにまたADCO閲覧室で再会することになったりして(そのほうが可能性大かも)。