ディジョン滞在6日目

8月1日(日)
あっというまに8月になってしまった。このまま2010年も暮れるのだろうか……という年寄じみた感慨は措いておき、今日も、猛暑に苦しむ日本の皆さまには申訳ないほどの好天のディジョンである。


市役所(旧ブルゴーニュ公宮殿)前のリベラシオン広場に広がるカフェのテラス(ディジョンではここが一番のテラスだと思う)でキールを飲みながら本を読んでいると、読んだ先から内容を忘れてゆくのがフシギである。ディディエ・テリエ他『ヘンな隣人』(レンヌ:レンヌ大学出版会、2010)の著者諸君、申訳ない……が、しかし、これ、真面目な歴史書にしてはヘンなタイトルではある。


昼食をとりに宿に戻ったら、イヴォンナが「大ニュース!! 長男の博士論文の出版が決まったの。イェーイ」とニコニコ顔でやってきた。前にも書いたが、イヴォンナはポーランド出身で、せっかくマリー・キュリー大学で生物学を学んだのに、その後いろいろあって、今はこの宿の清掃係(femme de menage)をしている。清掃係というのは、これまた前に紹介したフロランス・オーブナ『キストラム河岸』(パリ:ロリヴィエ、2010)を読めばわかるとおり、フランスでは「女性が就く、もっとも過酷な職業」である。そんな彼女にとって、アカデミクスで身を立てようとしている長男の成功はホントに嬉しいことなんだろう。そんなことを考えて、なんとなくシミジミしてしまった……が、そのあと部屋でマルサネ・ロゼを半本ガブ飲みしながら簡単な昼食をとったあたりが、ワタクシの限界なんだろう。


さて、本を読んでいるだけでもツマラナいので、ヒマに飽かせてモーリス・オランデル「歴史なき人種」(同『歴史なき人種』、パリ:ガラード、2009、所収)の翻訳を始めた。公刊の場のあてがあるわけではないが、インプットだけだと飽きるので、アウトプット=頭の体操としてはちょうど良いと考えた次第である。ところが、このオランデルくん(邦訳あり)、メチャクチャ悪文なんだよなあ……かなり疲れるんですが、これ(途中で挫折するかもしれない)。