ディジョン滞在18日目

8月13日(金)
かつて「カトリック教会の長女」と呼ばれた国で迎える13日の金曜日。いかなる不穏な事態が……と思いつつ、例によって9時にADCO閲覧室にゆくと、いつものとおりちゃんと資料11箱を載せた台車がワタクシを待っていた。なーんだ、全然問題ないじゃん!!、と思ってたら、甘かった。
しばらくたって、持参したバドワを飲みに出たついでにカウンターを見たら、出た!! 恐怖の「今日は人が少ないからあまり資料請求しないでね」札(意訳)。たしかに、先週末から今週にかけて2人がバカンスでいなくなり、1人がバカンスから戻ってきたので、差し引きマイナス1人なのである。
この札が出ると、どうも萎縮してしまう小心者のワタクシ。それでも午前中に11箱やっつけ、おずおずと「あのぉそのぉもう一台分よろしいですか?」と申し出て、どうにか11箱をゲット。


そして!!


13時30分。
ようやくこの11箱を開けおわった。これで予定していた340箱を全部やっつけたことになる。それも、たった3週間で、である。これも、職員のみなさんの柔軟な対応と、ワタクシの努力(?)の賜物だろう。これで来週は(他に関連しそうな箱や、見落としていた箱がないか否かを確認する)落穂ひろいに時間を充てることができそうだ。


とりあえず、一段落。
ブラボーというか、バンザイというか、ホッとしたというか(もちろん正解は3番目)。


そんなわけで、帰りに「ルート・デ・ヴァン」に寄って週末用のワインを調達。「前回のオーセ・デュレスはステキだったけど、今度はちょっと違う感じのを……」と頼んだところ、20ユーロぐらいという条件を確認したうえでオーナーが出してきたのがマルサネ白。マルサネは、ディジョン近郊ということもあり、地酒という印象しかなかったのだが、彼によれば「マルサネ白は珍しいんだ。大抵は赤かロゼだからね。これは良いよ」とのこと。それじゃということで1本(だけ)買う。
店を出がけにドアの横を見たら、日本向けの小包が積んである。「6本で郵送料が130ユーロ。免税可能なので、良いワインだったら相殺できるというわけ。どう?」と誘うオーナー。ぼくは……ぼくはディジョンにいるあいだに飲んでおきます。


さて、週末だ!!


【追記】
宿に戻ったら、ようやくwi-fiが直っていた。フランスにしては早いじゃん(皮肉)……というのは措いておき、この間、夜のつれづれなるままに訳していたモーリス・オランデル「歴史なき『人種』」(同『歴史なき人種』、パリ:ガラード、2009、所収 [Maurice Olender, '"Race" sans histoire" in Id., Race sans histoire, Paris : Galaade, 2009])の初訳が終った。「人種」概念の思想史を、たった30ページのなかで、アリストテレスから中世キリスト教世界、ヘーゲル、ルナンやルボン、そしてソシュールに至るまでたどるという力業である。ちなみに「人種概念を歴史化せよ」というオランデルの結論は、要するに「分類学から系譜学へ」ということなんだろうか?
それにしても終るときは次々に終るもんだが、さて、どこにどうコンタクトして公刊してもらうべきか。初訳ドラフトにのんびり手を入れながら、方策を考えることにしよう。