ディジョン滞在22日目

8月18日(水)
朝、霧雨のなかをADCOにむかって歩いていると、途中で開門待ち常連仲間のマダムに出っくわす。「ちょっと早く着いたので、ウィンドーショッピングしているところ。これならタダだしね」というご挨拶のあと、ノンビリと二人でADCOに向かう。
途中でおしゃべりの中身が政治の話になると、マダムが「わたしはね、左派も右派も政治家は嫌いなの」という。たしかに以前から、開門前の短い時間に言葉を交わすなかで、このマダムは政治家全体を嫌っているような感じがしていた。で、マダムいわく……


「わたしの従妹の夫が、じつは今の内務大臣なの。そんなわけで、たまに彼と近くでつきあうことがあるんだけど、政治家は特権階級だってことがよくわかる。フランス革命は王政を打倒したけど、特権は残ったってわけ」


ええええええっ!! 今の内務大臣といえば、大統領ニコラ・サルコジの側近中の側近として名高い(というか、むしろ忠犬ハチ公として悪名高い)ブリス・オルトフ(Brice Hortefeux)じゃないか!! 最近も、ロマ(かつての通称「ジプシー」)のキャンプ地を一掃しはじめるとか、犯罪を犯した帰化者のフランス国籍を剥奪せよとカマすとか、いろいろと御無体をなさっては物議をかもしている御人である。
もちろん、彼の発言の裏にはサルコジの意図がある。ここのところ支持率が自由落下状態にあるサルコジは、得意の「治安」分野で得点を稼ぐべく、7月から躍起になって「犯罪と闘う政府」イメージを打出しはじめた。その仮想敵が「ロマ」や「帰化者」(つまり郊外に住み、チャチな犯罪に手を染める移民の子どもたち)であり、そのスポークスマンが治安を担当する内務大臣たるオルトフなのである。
そりゃま、あんな政治家を近くでみてたら、イヤになるのもわかる気がする……が、しかし、あれは別格にヒドイ気もするんですが……。