【3/21】タイミングの大切さについて。

日付がずれてますが、地震のせいでこの辺が移動して(ホント・・・数センチですが)時差が生じたということで(ウソ)。
さて、稲葉くんから暖かな言葉を頂いたのだが、ぼくはツイッタとマックとグーグルにいわれなき偏見を抱いており、またツイッタに適合的なデバイスたるスマホ、とりわけiphoneをもってない(今回も全くやる気のないソフトバンクモバイル孫正義とは、一生契約しないと思う)ので、よーわからんのである。ま、それは措いておき、今日は、現地にいない「ヘタレ人文系インテリ」((c)稲葉くん)には何ができるか、考えてみよう。ちなみに現地にいる、ぼくのようなヘタレ人文系インテリは、避難所の受付をするあたりが適任(=自分)。


ぼくにいわせれば、

  • 現地にいないインテリがするべきは、「インテリでしか出来ないこと」をすることである。インテリでしか出来ないこととは、来たるべき(近い、あるいは遠い)未来を構想し、提言することにほかならない。
  • その際のポイントは「タイミング」である。

ということになる。


災害の専門家じゃないので確たることはいえないが、大規模災害後の現地の状況を

  • 戦時:人命救助が優先されるが、行政をはじめとする指揮命令系統は不在=現場一任。沿岸部は、まだこの状態が残っている。
  • 戦後:避難者のケアが重要になるとともに、指揮命令系統が復活してくる。仙台市内陸部などは、この段階の終わりに接近しつつある。
  • 復興期:ゴミ収集や日常生活物資の搬入など、日常生活復帰が本格化する。

にわけて考えてみたい。


提言の例として、加藤秀一さんが紹介している、3月17日付け「共生社会をつくる」セクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク「東日本大地震の被災地におけるセクシュアル・マイノリティへの対応に関する要望書(第2版)」をみてみよう。


以下ちょっとキツイ言い方になるが、申訳ない。


同要望書の内容は
1)救援活動は「男女別」に限定しないでください。性同一性障害をもつ人、性別に違和感がある人、性別が曖昧な人、外見と心の性別が一致しない人がいます。
2)同性パートナーを含め、非婚/未婚パートナーとの関係を「世帯」として扱って下さい。
3)セクシュアル・マイノリティの健康ニーズについて知識のある医師やカウンセラーを配置してください。
4)セクシュアル・マイノリティに対するハラスメントや性暴力への予防措置および被害者の相談・支援体制を確立してください。
5)災害対策本部は、セクシュアル・マイノリティに関する専門知識や支援経験のある人を登用し、意見を聴取してください。
6)今回の災害を機に、単身者や同性世帯に配慮した緊急連絡用カードを発行して下さい。
の6項目。


私見では、同要望書に対する評価は、タイミングごとに以下の通り。

  • 戦時:通信手段がないので、避難所をはじめとする現場におりてこない。評価は「毒にも薬にもならない」。
  • 戦後:指揮命令系統を通じておりてくると、避難所責任者など現場が従わざるをえず、貴重な人的資源をもちいて避難者を再配置しなければならなくなるなどドタバタが始まる。評価は「毒=よけいなこと言うな」。
  • 復興期:避難者が減り、避難所など現場が集約されてくると同時に、現場に張り付かされていた行政マンが戻ってきて、いろいろなことを考える余裕がすこし出てくる。評価は「ま、それなりに薬」。


そのうえで、同要望書の日付をみてみようか。17日というのは、仙台市内陸部でさえ「戦時」から「戦後」への移行期である。この段階で同要望書がなんらかの影響力=強制力をもったかたちで現場に伝わったとしたら、大混乱がおこっただろう。ちなみに、ぼくが(PTA会長なので)つめていた娘の小学校の避難所には、同要望書にもとづく措置が求められることはなかった。ネットワークには申訳ないが、まったくもってラッキーなことである。


まとめると、同要望書のレベルの内容は「復興期」に入った(すくなくとも、入りそうである)ことを確認してから出されるべきものである。要は「タイミング」であり、17日というタイミングは、現場の足を引張る以外の意味を持たない、あきらかな判断ミスである。


ちなみに、ぼくが参画したいくつかの避難所の、「戦時」から「戦後」にかけての状況は、同要望書の項目ごとに以下の通り。
1)救援活動は「男女別」に限定しないでください。
==>男女別に限定するなんて余裕はない。大体トイレは非常用なので共用だし、避難所は来る人から順番につっこむしかない。「戦後」になってようやく、住所ごとに大まかにくくって再配置することができた。
2)同性パートナーを含め、非婚/未婚パートナーとの関係を「世帯」として扱って下さい。
==>世帯構成を気にする余裕はない。まとまってやってきたグループを、片っ端からつっこむのみ。
3)セクシュアル・マイノリティの健康ニーズについて知識のある医師やカウンセラーを配置してください。
==>どこにいるんだ、そんな人? たしかに仙台にもいるが、自分の避難で精一杯。避難者全体の健康ニーズすら、ボランティアでまわってくるお医者さんのおかげで、どうにかカバーできたのである。それでも、暖房もないなかで、インフルエンザの子供たちが避難していたんだぞ。ぜーたく言うな。
4)セクシュアル・マイノリティに対するハラスメントや性暴力への予防措置および被害者の相談・支援体制を確立してください。
==>だれがやるんだ、そんなこと? 同上。
5)災害対策本部は、セクシュアル・マイノリティに関する専門知識や支援経験のある人を登用し、意見を聴取してください。
==>災害対策本部すら流されてしまったところが沿岸部自治体には一杯あるし、仙台市内でも(区ごとに本部が置かれているが)しばらく機能しない本部があったというのに、ムリいうな。
6)今回の災害を機に、単身者や同性世帯に配慮した緊急連絡用カードを発行して下さい。
==>これは「復興期」以降の問題だから、全面的に賛成。


まあ、そもそも「被災地のセクシュアル・マイノリティの皆さんのニーズが満たされているか、暴力や差別、偏見にさらされてはいないだろうか」というネットワークの現状認識がズレまくっている。はっきりいって、性的少数者をいじめるなんていう「余裕」は、「戦時」と「戦後」にはない。問題が生じるとしたら、それは余裕が出てくる「復興期」以降である。


無関心か協力か、どちらかしかないのだ。生きるためには。