フランス大統領選挙・第一次投票

昨日はフランスの大統領選挙があり、過半数を占めた候補者がいなかったため、2週間後に上位2者による第二次投票がなされることになった。ちなみに1位がフランソワ・オランド社会党PS)、2位がニコラ・サルコジ(民衆運動連合UMP)であるが、各種世論調査をみると二次投票はオランド優勢らしい。
こ、こ、これはマズイぞ、がんばれ現職サルコジくん!! というのも、拙著『フランス7つの謎』(文春新書)は満面の笑みをたたえたサルコジ大統領の写真をオビに使っているので、彼が負けるとオビの刷りなおしをよぎなくされ、文春に余計な出費を強い、編集を担当してくださった続さんに余計なご迷惑をかけ・・・と、私的な妄想は広がるのだった。
まあサルコジ苦戦の理由については、第二次投票がすんで結果が判明したあとのお楽しみとしよう。実際フランスのマスコミをみると、サルコジ苦戦は織込ずみであり、第一次投票の話題は「極右」に位置づけられるマリーヌ・ルペン国民戦線FN)が20%近い票を得たことに集中している。国民戦線は、前回2007年には10%(ルペン父)だったから、一気にダブルスコアとなってインパクトあり、ということなのだろう。
フランスの政界を大ざっぱに「極右、右翼、中道、左翼、極左」の5つに分けてみると、今回の得票率は、これまた大ざっぱにいって以下のとおり(共産党を「極左」にするな、とか、いろいろ批判はあるかもしれないが、まあ「とりあえず」ということで)。
極右:18%(ルペン)
右翼:29%(サルコジ、デュポン・エニャン[元UMP])
中道:9%(バイル[民主運動])
左翼:30%(オランド、ジョリ[緑の党])
極左:13%(メランション[左翼戦線=元PS左派+共産党PC]、プトゥ[反資本主義新党NPA=元革命的共産主義者同盟LCR]、アルト[労働者闘争党LO]、シュミナド[連帯進歩党SP])
これまた&これまた大ざっぱにこの得票率を評価してみようか。


①これは「不況下における排外主義的極右の台頭」という、欧州各国にみられるトレンドがフランスにも到来したことを意味しているのだろうか?

比較のために前回2007年選挙の第一次投票をみると、
極右:14%(ルペン父、ドヴィリエ[フランス連合]、ニウ[「狩猟・釣り・自然・伝統」党CPNT])
右翼:31%(サルコジ
中道:19%(バイル)
左翼:29%(ロワイヤル[PS]、ヴォワネ[緑の党]、ボヴェ[エコロジスト])
極左:8%(ブザンスノ[LCR]、ビュフェ[PC]、ラギエ[LO]、シヴァルディ[勤労者党PT])
である。
こうしてみると、極右は4ポイントの増加。これをどう評価するかだが、個人的には「ま、こんなもんか」という感じがする。「前回は3人に割れた極右票が今回はルペンに集中した」+αと考えていいんじゃね?、つまり

フランスの政治地図はそんなにかわってない


ってあたりでひとつよろしく、ということである。



②ちなみに、今回は、極右のみならず、極左も5ポイント増加している。これに対して右翼は2ポイント減少、左翼は1ポイント増加で、あまり変化はない。最大の敗者は中道で、じつに10ポイントの減少。これはフランス政治の左右両極化を意味しているのだろうか?

もうちょい比較するべく、前々回2002年の第一次投票をみてみよう。
極右:23%(ルペン父、メグレ[元FN]、サン・ジョス[CPNT])
右翼:25%(シラク[UMP]、マドラン[自由民主党]、ブータン[キリスト教民主主義派])
中道:7%(バイル)
左翼:28%(ジョスパン[PS]、シュヴェヌマン[元PS]、マメール[緑の党]、トービラ[左翼急進党]、ルパージュ[エコロジスト])
極左:14%(ラギエ[LO]、ブザンスノ、ユー[PC]、グリュックスタン[PT])
前々回のほうが、極右の得票率は高かったことがわかる。その分、右翼の票が食われているわけだ。これに対して、中道から極左にかけての得票率は、今回とそんなに変わらない。ここ10年でみると、左右両極化は進んでいないことがわかる。ここでもまた、

フランスの政治地図はそんなにかわってない


のである。



③ついでに、今回について極右と右翼を足し、左翼と極左を足してみると、前者が3ポイント増加、後者が6ポイント増加。中道票の取り込みについては、左翼・極左のほうが成功しているわけだ。サルコジが右傾化しすぎたのに対して、オランドは中道左翼的なポジションをとって成功したことがわかる。しかし、だ。極右+右翼で47%、極左+左翼で43%と、これだけみれば前者を代表して第二次投票に進んだサルコジのほうが有利にみえるのだが、なぜマスコミでは「オランド優勢」なのだろうか? 


これはマスコミの陰謀だ!! 
拙著に対するイヤがらせだ!!

 (ちがうって)