「相性」が大切なのだよ、ワトソン君。

先日、とても不思議な演奏に出っくわした。舞台は仙台市制123周年記念コンサート、お題は仙台フィル小泉和裕+アンドレイ・バラーノフによるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。無料だったのでさほど期待せずに出かけたのだが、これが、なんというか、期待をはるかに超えた出来だった。
とにかく第一楽章が始まるや否や、音楽素人のぼくですら「うーむ、どこかヘンじゃないか?」と感じざるをえない時間が続く。もちろんミスが続くとか、場内が騒がしいとか、そういった問題があるわけじゃない。なんというか、ムズムズするというか、歯にモノがはさまっているというか、仙台弁でいうところの「イズイ」感じ。どこかおさまりが悪いのである。


しかし、だ。

  • 仙台フィルといえば、我がまちが誇るプロのオケである。
  • 小泉といえば、カラヤン指揮者コンクール第一位、泣く子も黙るスター指揮者である。そんな小泉がなぜ無料コンサートを振ってくれるかといえば、仙台フィルの首席客演指揮者だからである。
  • そして、バラーノフは、今はまだあまり有名じゃないかもしれないが、これから伸びるだろうロシアの新進気鋭。2010年の仙台国際コンクールでは二位(一位はクララ・ジュミ・カン)だったが、今年のエリザベト国際コンクールで優勝し、優勝者に貸与されるストラディヴァリをひっさげての凱旋公演である。

そんなわけで、キャストは悪くないんだな、これが。


それでは、いったい何が問題だったのか。音楽素人なので正しいか否か保証の限りではないが、

  • 小泉は、ウェイトをうしろに置き、粘り強い音を作りあげてゆくタイプと見た。実際、チャイコフスキーのあとに演奏されたベートーヴェン交響曲七番は粘り強い重厚な音が積み重なり、すばらしい出来となった。
  • これに対してバラーノフは、若い(といっても26歳)せいか、あるいはタイプなのか、ウェイトをまえに置き、パワフルに前進してゆく。ちなみに、カデンツァを聞くかぎり、技術も高水準(とくに高音がすごい)。

というわけで、おそらくは小泉とバラーノフのリズム感覚がずれていたのがイズイ感の原因であり、要するに「相性」が問題だったのである。


いやいや、よく考えてみれば、人生とはこれすべからく相性也。