工藤光一『近代フランス農村世界の政治文化』刊行。

1月に亡くなった工藤光一さんの遺著『近代フランス農村世界の政治文化』(岩波書店・世界歴史選書、2015)が、19日に刊行された。ぼくは、追悼シンポジウムでトークするべきところを突然の心身不調により欠席したことにリベンジ(?)するべく、20頁をこえる「解説」を書かせていただいたが、没後一年もたたずに刊行されるとは……関係各位の努力に敬意を表するとともに、工藤さんの人徳に首を垂れたい。
せっかくなので(?)わが筆になる「解説」の最後の部分を転載しておこう。
感涙に咽ぶがよいわ。

  最後に、若干の私的な感慨を記すことを許していただきたい。ぼくは、工藤とともにした時間は決して長くはないが、それは濃密な経験であった。その中核をなすのは1990代初め、ともにフランスに家族連れで滞在していた時期である。若く、貧しく、夢と不安と希望だけがある時間を共有できたことは、今もって懐かしい記憶として在る。さらにいえば、1986年4月、これまた今は亡き柴田三千雄先生の大学院演習ではじめて会って以来、ごく近しいテーマを学ぶすぐれた先達からいかに多くのことを学びえたか、その僥倖は形容しがたい。
  けだし研究とは、いかなる学問領域にあっても、つまるところはコミュニカティヴな営みなのである。