キーワードは「前倒し進行」。

フランスでしごとをストレスレスに進めるためのキーワードは「前倒し進行」である。これは自信をもって断言できる。日本人の水準からいってもパンクチュアルなぼく自身でさえ、これまでさんざん痛い目にあってきたからだ。
今回も、まことドンピシャ。ただし「前倒し進行を守っていて良かった」というパターンのほうだったので、ダメージは避けられた。
エッヘン。


(1)現在のメインの仕事先であるモンペリエ市文書館から「同時代部門(1940年以後の資料=請求番号系列Wを保存してある)の資料保存庫が改修工事に入るので、あんまり閲覧できないんだけど」というメールが届いたのは前述したが、今回来てみて詳しい事情がわかった。要するに資料保存庫にアスベストが使用されていることがわかり、全面封鎖して脱アスベスト化するというのである。建物の清浄化に3カ月という話だが、これだけでもすでに「眉唾」もの。しかも、そのあとに資料の清浄化まで実施するというのだから、これは大事(おおごと)になるのは間違いない。専門業者に頼むそうだが、全部で年単位の時間はかかるんじゃないだろうか。その間、資料へのアクセスはもちろん全面ストップである。


(2)それだけではない。請求番号系列Wの資料は年々増加しているため、全てが整理され、資料番号を付されているわけではない。全貌を理解しているのはただひとり、最古参の資料保管庫担当者(マガジニエ)ジャン・ジャックだけである。ところがジャン・ジャック、なんとこの間のドタバタで体調を崩して休職してしまったんだそうだ。おまけに、彼の右腕として働いていた秘書のブリジットも、古紙のかびアレルギーで他部署に異動してしまっていた。これでは、残った資料の整理は「いち」つまり担当者の養成から始めざるをえないから、何年かかるか想像もつかない。


(3)さらに、もうひとつ別の問題がのしかかる。モンペリエ市文書館は2018年度に移転が計画されているのだ。職員さんに聞いたら「予定は未定だからねえ、いつになるんだか」と笑いとばされたが、それでも移転が現実化したら、閲覧の一時停止から、移動に際しての資料の紛失まで、なにがおこるかわからない。


これらを考えあわせると、モンペリエ市文書館同時代部門の資料閲覧は、今後、十年単位でドタバタが続くことが予想される。
いやあ……前回かなりの資料をチェック&写真撮影しておいてよかった。
ホントに心から「前倒し進行」のありがたみを実感した霧雨の一日であった。
エッヘン。