フランス大統領選挙

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フランス大統領選挙の第二次投票は、予想どおりマクロン勝利した。マクロンは、社会党右派であるオランドをもうちょっと経済的リベラリズムすなわちグローバリズムの方に寄せたような政策を遂行するだろうから、大きな変化は生じないだろう。
彼自身は「左でも右でもない」とか言っているようだが、これには、1970年代のヴァレリ・ジスカールデスタン、1990年代のフランソワ・バイルという先例がある。独仏枢軸の強さは日米安保並み、ということになるだろうか。
第一次投票も含めて、主要な候補者5人、すなわちマクロン、ルペン、フィヨン、メランション、アモンのスタンスの違いは、経済的リベラリズムと政治的・社会的リベラリズムという二つの対立軸のなかで考えるとわかりやすい。彼らのスタンスを図示するとこんな図になる。

  • 図を見ればわかるとおり、問題は「グローバリズム(親EU)か保護主義(フランス・ファースト)か」および「ダイバーシティ(移民に寛容)か排他主義(白人ファースト)か」であり、マクロンとルペンはちょうど反対の位置にある。マクロンとルペンが第二次投票に残ったのは、ある意味(正反対でわかりやすい構図になるから)当然であることがわかる。
  • なお、アモン(社会党左派)の位置付けは、彼がベーシックインカムの導入を唱えたことを考えると、再考の余地がある。
  • これまでフランス政界の中心をなしてきた右派(共和党、フィヨン)と左派(社会党、アモン)は、ここのところ、ともに右半分、つまり経済的リベラリズムを奉じてきた。両者の対立は政治的・社会的リベラリズムの如何をめぐるものに局所化されていたといってよい。そこに割って入ったのがルペンであり、ついでメランションだった……というか、後者を支持した共産党保護主義的な性格をもっているから、こっちのほうが老舗で、順番は逆かもしれない。
  • ルペンとメランションは反経済的リベラリズムを共有しているから、前者が後者の票を(第二次投票で)得ようとすれば、みずからの反「政治的・社会的リベラリズム」を弱める必要があった。それに失敗したのが、今回の敗因である……たぶん。
  • ちなみにこの図でいう「経済的リベラリズムか否か」は「階級政治」をめぐる対立であり、「政治的・社会的リベラリズムか否か」は「アイデンティティの政治」をめぐる対立である。共和党社会党という老舗政党は、ここのところ「階級政治」ではなく「アイデンティティの政治」をめぐって相争ってきたことがわかる。ルペンやメランションに対する支持は、このような事態に対する批判、すなわち「アイデンティティの政治」疲れ、要するに「貧乏で失業してるから、ダイバーシティとかいってるヒマないし」的環境を意味しているように思われるが、どうだろうか。


それにしても、われながらヘタな図だ。うん。