日本西洋史学会報告③

【追記】
ギャップにも国鉄が走っていた。ごめん、ギャップ。
【本文】

  • 第3試合

藤原翔太「ナポレオン体制期における地方統治システムの転換―名望家時代の揺籃―」
フランスの中でも1、2を争う弩マイナーな県(失礼!!)オート・ピレネーを対象とし、フランス革命末期から第一帝政期における市町村長の任命プロセスの変遷を辿り、その変化のなかに「名望家(notables)」支配の到来を見出す。
藤原さんとは、今から何年前のことになるだろうか、槇原茂さんの共同科研費プロジェクトの一環として広島大学で開かれたセミナーに研究協力者として出席した際にお会いして以来である。オート・ピレネーを研究していると聞いて「なんでまた? 敬虔なクリスチャン(泉で有名なルルドは同県にある)なのか?」などと思ったものだが、それもそのはず。同県の県庁所在地がタルブであるなどとは、一般のフランス人も知らないのではなかろうか。日本人歴史学者が研究する対象としては、伊丹一浩さんのオート・アルプ県と並んでマイナーである。ま、県庁所在地ギャップに(たしか)国鉄が通っていないオート・アルプに比すれば、タルブにTGVが通っているだけ、オート・ピレネーはマシかもしれないが、それにしても、うむ。話がずれたが、藤原さんは、その後、トゥルーズ大学に留学され、わずか3年で博士を取得。博士論文は同大学出版会から刊行予定とのことだった。
今回の報告は、博士論文のエッセンスを提示したもののようだったようだが、利用された資料(中央文書館、県文書館、市町村文書館、その他刊行資料)の量と質、たどられる論理のソリッドさ、提示されるアーギュメントの「過不足のなさ」など、上記キャリアにふさわしい報告だった。こういうしっかりした報告を聞くと、嬉しいというか、うらやましいというか、なんというか。
ぜひ、藤原さんには今後の日本フランス史学界を背負っていってほしいものである……って、またも上から目線。トシだな、トシ。