本郷へ。

本郷に行くときは、なるべく上野で新幹線をおりて歩いてゆくようにしている。昨日もそうした。地下深くの新幹線ホームから、いまでは利用者が少なくなったためガランとした感のある新幹線地下コンコースを通り、古き良き時代を偲ばせる不忍口に出る。ガード下を通り、旅行者で混雑する京成上野駅コンコースを強引に横切り、不忍池をつっきると、そこは東大本郷キャンパスでもっともマイナーといってよい池之端門だ。東大病院裏の寂しい坂道をトコトコ上がってゆくと、右手に第二食堂がある。
さて、久しぶりに二食のカレーを食べるか、中央食堂のカレーと(同じ生協食堂なのに)なぜか違って美味しいんだよなあ、懐かしいなあ……と思って階段を上がったら、二食は土曜日休みになっていた。梅雨の中休みとはいえ暑く湿っぽい空気のなかを歩いてきたというのに、ガックシ。最初のミッションからしてコケてしまった。
第2のミッションは、政治経済学・経済史学会(旧・土地制度史学会)の春季学術大会「グローバル経済史にジェンダー視点を接続する」。春季学術大会は、最近、フルペーパーを事前にダウンロード可能にしておき、参加者がそれを読んできたことを前提にセッションを進める、という世界標準形式を採用し、密度の濃い時間をすごせるようになった。
今回は、歴史学界の一部からは「なぜ、いまさらグローバルヒストリー?」&「なぜ、いまさらジェンダー?」という疑問が呈されるやもしれぬテーマであり、また、4本のトークのあいだの関係が十分にはわかりがたいきらいはあった(が、これはまぁ斯界ではよくあることである)ものの、個々のトークは高水準&興味深く、全体として満足できるものだった。ジェンダーという視点は、じつは「生産、流通、交換、消費、再生産」というプロセスを対象とする経済史学にとってこそ重要であり、有用なのだ、ということが、さわさわと感じられる時間となった。
そして最後のミッションは、東京都美術館で開催されている「バベルの塔」展。土砂降りのなか開門を待ち、オープンするや否や、他の絵には目もくれずに「バベルの塔」に走りよる。頑張った甲斐があり、ほぼ「ガラガラ」といってよい理想の状態でみることができた。
ちなみに最前列は整理用のロープが張られ、立ち止まって見学していると(うしろにも、ロープのうしろにも、だれもいなくても)職員が「動きながらみてください」と注意するという、ガラガラな状態ではじつに無意味な、まさにマニュアル化されたシステムが作動していて微苦笑を誘う……が、もうちょっと状況に応じてアタマつかおうよ、ね。ともあれ、しかたないので、最前列のロープがはられた部分を退出しては、また最前列のロープがはられた部分に回りこむという、人気の少ない会場をグルグル回る「怪しい影」化する15分。
とにかく細密なので、よくみないとわからんのだよ、ワトソンくん。