トラムバスという選択。

【8月5日追記

これだけだとニームにカライ話になって申訳ないので、付記しておくと、感心したのは紙の切符がリチャージャブル(再利用可能)になっていることだった。フランスではバス・トラム・トラムバスなど都市公共交通機関の切符が共用になっていることが多いが、それら切符は

・紙製の一回券(または数回券や一日券など)

・プラスチック製の定期券(日本のスイカみたいなもの)

にわけられることが多い。前者はバス停の自動販売機、バスの運転手さん、その辺の店で売っており、後者は、顔写真が必要なことが多いので、営業所に出向いて購入するのが普通だ。

ニームでは、このうち(定期券がリチャージャブルなのは当然だが)紙の切符もリチャージャブルになっている。つまり、一回券の場合だと、最初に1.6ユーロ払って買うのだが、これには0.3ユーロのデポジットが入っており、次回からは自動販売機などで1.3ユーロ払ってチャージすることになっている。紙の切符まで再利用するとは……かかるコストは、リチャージャブルな特殊な紙を使用しなければならないわけだから、一回使ったらオシマイのものよりも高いんじゃないかと思う。そうだとすると、これは、一種の環境政策と考えるべきなのだろう。

ぼくも、0.3ユーロのデポジットを考え、昨日買った一回券を大切に保管することにした。

でも、今日も暑いんですが。

【本文】

日本も暑いがニームも暑いなか、どうにか週末を迎えた。南仏の暑さの特徴は午後遅くから夕方に最高気温が来ることで、今日も、ニームが最高気温38.5度を記録したのは15:30。要するに「仕事は午前中に片付けるべし」ということである。この一週間のぼくの行動が、これをもって正当化されたわけだ。

今日土曜日は「グラン・デパール(大脱出)」、すなわちフランス人のバカンス出発日であり、しかもグラン・デパールのなかでも最大の人数が動く日である。こんな日は、遠出をしようなどと考えると、ろくなことにならない。電車は遅れ、バスは来ないに決まっている。今日も、もっとも近い海であるグロ・デュ・ロワとニームを結ぶローカル線は、国鉄の(もちろん日にちと場所を狙った)部分ストでほぼ全休。駅をのぞいてみたら、長距離列車はTGVを中心に120分とか90分とかいった遅れが頻発していた。例年の大混雑に加え、今年は猛暑で(線路をはじめとする設備にムリをさせられないため)速度制限がかかっているらしい。

そんなわけで、最近ニームが導入したトラムバスに乗ってみた。トラムバスとは聞きなれない言葉だが、要するに、極力専用軌道を整備し、交差点では優先的に進入できるようにしたバスのことである。本来であればトラムを導入したいのだが、それだけの財源と予想利用者数がない規模の地方自治体がセカンドベストの方策として頼るシステムという位置づけだろうか。

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ニームでは、2016年末に1号線が開通し、現在は、2号線の開通に向けて住民意見調査が進められている。

ローマ博物館(建物は、そろって建築家のポルザンパルク夫妻のうち、妻エリザベトのデザインで、これは一見の価値がある)をざっとみて、トラムバスに飛び乗る。

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ちなみに、こんなピカピカのローマ博物館が、ローマ時代の遺跡であるコロシアムの隣に建っているのは、コントラストが強くて素敵である。

ラムバスは、街の中心部から、黒川紀章がデザインしたニーム都市圏庁舎「ル・コリゼ」の横を通り、町はずれの終点に至る。終点まで乗り、そのまま折り返しのトラムバスに乗って戻る。

乗った感想は、残念ながら「選択としては、中途半端」の一言。欧州が「トラム・ルネサンス」にあるというのは良く知られたことだが、トラムの導入は「自動車の排除」を中核とする「街の再生」政策の一環としてなされている。ところが、トラムバスだと、なかなか「自動車の排除」にならない。専用軌道に(フランス人らしく)勝手に割り込んでくる自動車もあるし、なによりトラムバス自体がしょせんは自動車なので、「自動車の排除」をイメージしがたい。難しいものだなあ……と思いつつ、バス停からホテルまでテチテチと歩いて帰ったのであった。